コラム

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熱交換の基礎と食品工場での役割:チョコレートからスープまで、食材の物性に合わせた加熱・冷却の技術

【第一部】熱交換の基礎知識 ~身近な現象から食品工場での役割まで~

■ 身近な例から学ぶ熱交換のイメージ

私たちの毎日の暮らしは、実は「熱交換」であふれています。朝、電気ケトルでお湯を沸かすのも、冷蔵庫で食材を冷やすのも、エアコンで室温を調整するのも、すべて熱が移動する現象を利用したものです。たとえば鍋でお湯を沸かすとき、コンロの炎の熱は鍋底の金属を通って水に伝わり、やがて鍋全体、そして水全体が温まっていきます。このように、温度の高いところから低いところへ熱が移動し、双方の温度が均される現象こそが熱交換の基本イメージです。食品工場においても、この身近な原理を大規模かつ精密にコントロールすることで、安全でおいしい製品づくりが支えられています。

■ 熱交換とは?

熱交換とは、温度の異なる2つの物質(多くは流体)の間で、熱エネルギーを一方から他方へ移動させることを指します。一般的には、2つの流体が直接混ざり合わないように金属の壁(伝熱面)を隔てて配置し、その壁を介して熱だけを移動させる「間接熱交換」が広く用いられています。食品工場では、加熱用の蒸気や温水と、冷却用の冷水やブラインを使い分けながら、原料や製品の温度を目的に応じて上げたり下げたりするために熱交換が行われています。

参考文献:Alfa Laval「熱交換器とは-仕組みと用途」https://www.alfalaval.jp/products/heat-transfer/plate-heat-exchangers/about-heat-exchangers/

■ 熱交換の仕組みとは?

熱交換の仕組みは、「温度差があるところには必ず熱が移動する」という自然界の法則に基づいています。高温側の流体が伝熱面に触れると、その熱は伝熱面の金属内部を伝わり(熱伝導)、反対側に触れている低温側の流体へと移っていきます(対流による熱伝達)。この一連の流れを効率よく行うために、伝熱面の面積を広くしたり、流体の流れを乱流にして熱の伝わりを促進したりといった工夫が、熱交換器の構造には凝らされています。

参考文献:「【伝熱工学の基礎】熱伝導、熱伝達、熱放射をわかりやすく解説」

■ 熱の基本とは?(対流・放射・熱伝導)

熱の伝わり方には、大きく分けて「熱伝導」「対流」「放射(輻射)」の3種類があります。熱伝導は、物質の内部を熱が伝わっていく現象で、金属のスプーンを熱い飲み物に入れると持ち手まで熱くなるのがその例です。物体内部で熱が移動する現象であり、体積や比重の大きい物質ほど熱が伝わりやすいとされています。対流は、液体や気体そのものが移動することで熱が運ばれる現象で、温められた流体は密度が下がって上昇し、冷たい流体は下降するという動きを繰り返します。この動きが外的な力によって強制的に起こされる場合は強制対流と呼ばれ、ファンなどによって流れをつくり出す仕組みが用いられます。放射は、物質を介さずに電磁波の形で熱が伝わる現象で、太陽の熱が空間を隔てた地球まで届くのはこの放射によるものです。食品工場の熱交換器では主に熱伝導と対流が組み合わさって熱の移動が起こっています。

 

参考文献:株式会社ライフテック「熱はどうやって伝わるのか?輻射(放射)熱、対流熱、伝導熱の3つの熱の種類と違いについて」https://www.e-lifetech.com/blog/2833/
株式会社シモテック「熱移動の3原則(熱伝導・対流・熱放射)についてメカニズムを解説」
「熱の伝わり方の3種類(伝導・対流・放射)を分かりやすく図で解説!」https://zatugaku-gimonn.com/entry449.html
「【熱伝導・対流・放射】3つの熱の伝わり方の種類と熱伝導率・熱伝達率を解説」

■ 電熱の種類は?

「電熱」という言葉は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して利用する技術全般を指すことが多く、電気ヒーターや電磁誘導加熱(IH)、通電加熱(オーミック加熱)などがその代表例です。食品工場では、蒸気や温水を熱源とする間接加熱に加えて、通電加熱のように食品そのものに電流を流してジュール熱で内部から加熱する方式も、固形物入りの食品などで採用が広がっています。いずれの方式も、最終的には熱伝導や対流によって食品全体に熱が行き渡る点は共通しています。

■ 熱伝導とは?

熱伝導とは、物質を構成する分子や原子の振動・運動エネルギーが、隣り合う粒子へと次々に伝わっていくことで、物質内部を熱が移動する現象です。固体では、温度が高い部分ほど原子の振動エネルギーが大きくなり、隣接する原子と相互作用しながら高温側から低温側へ熱が伝わっていきます。特に金属は自由電子を豊富に持つため、自由電子が運動エネルギーを低温側へ伝えることができ、熱伝導率が大きくなる性質があります。この性質があるからこそ、ステンレスなどの金属は熱交換器の伝熱面材料として選ばれているのです。

参考文献:「【伝熱工学の基礎】熱伝導、熱伝達、熱放射をわかりやすく解説」

■ 熱伝導の仕組みとは?

熱伝導の仕組みを理解するうえで欠かせないのが「フーリエの法則」です。これは、単位面積・単位時間あたりの熱の移動量と、単位長さあたりの温度差とを、熱伝導率という比例係数で結びつけた法則です。つまり、熱伝導率が高い材料ほど、また温度差が大きいほど、同じ厚みでもより多くの熱が伝わることになります。熱交換器の設計では、この考え方をもとに伝熱面の材質・厚み・面積を最適化し、限られた設置スペースの中でできるだけ多くの熱量を移動させられるように工夫されています。

参考文献:「【伝熱工学の基礎】熱伝導、熱伝達、熱放射をわかりやすく解説」

■ 電熱の計算方法は?

熱交換における伝熱量の計算では、一般的に「Q=K×A×ΔTm」という式が基本になります。Qは単位時間あたりに移動する熱量、Kは総括伝熱係数(伝熱面の熱の伝わりやすさを示す値)、Aは伝熱面積、ΔTmは高温側と低温側の平均温度差を表します。この式からわかるように、伝熱量を増やすには、伝熱係数を高める(流れを乱流にする、汚れを付着させないなど)、伝熱面積を広げる、あるいは温度差を大きくする、という3つのアプローチがあります。実際の設備選定や運転条件の見直しでは、このいずれか、あるいは組み合わせによって必要な熱交換能力を確保しています。

参考文献:株式会社日阪製作所 熱交換器事業本部「プレート式熱交換器|1限目 熱交換器とは|熱交ドリル」

■ 食品工場における加熱冷却の役割と重要性とは?

食品工場における加熱・冷却は、単に食品の温度を変えるだけの工程ではありません。加熱は、殺菌・調理・タンパク質の変性・デンプンの糊化など、食品の安全性と食感・風味を決定づける重要な役割を担っています。一方、冷却は、微生物の増殖を抑えて品質を保つとともに、包装や充填に適した粘度・物性へと製品を調整する役割を果たします。加熱と冷却を精密にコントロールできなければ、食中毒リスクの増大や、風味・食感のばらつきといった品質トラブルに直結してしまうため、熱交換の技術は食品製造の根幹を支える存在といえます。

■ 熱交換の役割とは?

食品工場における熱交換の役割は、大きく分けて「安全性の確保」「品質の作り込み」「生産効率の向上」の3点に集約されます。安全性の面では、殺菌・滅菌に必要な温度・時間を正確に与えることが求められます。品質の面では、加熱によるとろみ付けや乳化の安定化、冷却による食感の固定など、製品の完成度を左右する工程を担います。そして生産効率の面では、連続的に加熱・冷却を行うことで、バッチ処理に比べて生産量を大きく高めることができます。これらを同時に満たすために、食品の物性に応じた熱交換器の選定が欠かせません。

■ 加熱と冷却は食材の品質にどのように影響するのか?

加熱・冷却の与え方は、食材の品質に直接的な影響を及ぼします。たとえば加熱が不足すれば殺菌不十分によるリスクが残る一方、過剰な加熱は風味の劣化やタンパク質の変性による食感の悪化、色調の変化(褐変)を招くことがあります。また急激な温度変化は、乳製品であれば分離、卵液であれば凝固ムラ、チョコレートであれば結晶構造の乱れ(ブルーム現象)といった品質トラブルの原因になり得ます。反対に、緩やかで均一な加熱・冷却は、食材本来の風味や食感を損なわずに、狙った物性へと安定的に導くことができます。だからこそ、食材ごとの特性に合わせた温度プロファイルの設計が重要になるのです。

■ 粘度の異なる食材において、熱の伝わり方に違いはあるのか?

食材の粘度によって熱の伝わり方には大きな違いが生じます。水や飲料のような低粘度の流体は、流れの中で自然に乱流が発生しやすく、対流による熱伝達が効率よく進みます。一方、チョコレートやペースト状の惣菜、マーガリンのような高粘度の食材は、流れが層流になりやすく、伝熱面付近の温度が上がっても内部まで熱が伝わりにくいという特性があります。さらに高粘度の食材は伝熱面に留まりやすいため、こげつきによる品質劣化や、伝熱面への汚れの固着(ファウリング)が起こりやすいという課題も抱えています。このような高粘度食材に対しては、掻き取り式熱交換器のように、伝熱面を機械的に掻き取りながら加熱・冷却する構造が有効とされています。

参考文献:藤産業株式会社「熱交換器とは」https://www.st-fuji.co.jp/heatexchanger.html
株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」


【第二部】食品カテゴリー別に見る熱交換プロセス

前回の第一部では、熱の基本的な仕組みと、食品工場における加熱・冷却の重要性についてお伝えしました。第二部では、実際の食品カテゴリーごとに、どのような熱交換プロセスが行われているのかを具体的に見ていきます。

■ 熱交換の工程とは?

食品工場における熱交換の工程は、一般的に「予熱(加温)」「本加熱(殺菌・調理)」「保持(ホールディング)」「冷却」という流れで構成されます。原料はまず適切な温度まで予熱され、殺菌に必要な温度・時間を満たす本加熱工程を経たのち、規定時間その温度を保持し、最後に充填や包装に適した温度まで冷却されます。この一連の工程では、食材の粘度や固形物の有無、熱に対する敏感さに応じて、使用する熱交換器の種類や流速、伝熱面の構造が細かく調整されています。

■ 乳製品の熱交換プロセス

牛乳や生クリームなどの乳製品は、熱に対して非常にデリケートな食材です。牛乳の殺菌には、63℃前後で30分間保持する低温殺菌(LTLT)や、120〜150℃で数秒間処理する超高温瞬間殺菌(UHT)など複数の方式があり、いずれも温度と時間の精密な管理が求められます。加熱が急激すぎたり温度が高すぎたりすると、乳タンパク質が変性して伝熱面に焦げ付き(ファウリング)が生じやすく、風味の劣化にもつながります。そのため乳製品の加熱・冷却には、伝熱効率に優れ温度差を1℃程度まで近づけられるプレート式熱交換器が広く使われており、加熱後は速やかに冷却して細菌の再増殖を防ぐ設計がとられています。

参考文献:株式会社日阪製作所 熱交換器事業本部「プレート式熱交換器|1限目 熱交換器とは|熱交ドリル」

■ 飲料の熱交換プロセス

清涼飲料やジュース、お茶などの低粘度飲料は、比較的流動性が高いため、プレート式熱交換器による連続殺菌・冷却が主流です。プレート式は伝熱プレートが薄く伝熱抵抗が小さいため熱交換効率に優れ、据付面積も小さく済むという特長があり、低粘度の飲料・食品の加熱冷却工程で最も多く使用されている熱交換器とされています。果肉入りの飲料など、わずかに固形分を含む場合は、流路の詰まりを避けるためにチューブ径の大きい多管式熱交換器が選ばれることもあります。加熱殺菌後は充填温度まで速やかに冷却し、容器への充填・密封を行うことで、賞味期限にわたる品質を確保しています。

参考文献:株式会社イズミフードマシナリ「製品紹介-製品で選ぶ-熱交換器・通電加熱機器」https://www.izumifood.shi.co.jp/product/p_category1.html

■ 麺類の熱交換プロセス

生麺やゆで麺、蒸し麺などの麺類は、デンプンの糊化と食感の作り込みが品質を左右します。麺は茹で工程や蒸し工程で高温の熱媒(蒸気や熱湯)に直接触れさせることでデンプンを糊化させ、コシやもちもちとした食感を生み出します。その後は急速に冷水で締めることで、糊化したデンプンの構造を固定し、麺同士の付着やべたつきを防ぎます。この「加熱でコシを作り、冷却で締める」という温度変化のメリハリが、麺類の食感を大きく左右する重要な工程です。

■ チョコレートの熱交換プロセス

チョコレートの熱交換で特に重要なのが「テンパリング」と呼ばれる温度調整工程です。チョコレートに含まれるカカオバターは複数の結晶構造をとり得るため、一度溶かした後に一定の温度帯で加熱と冷却を繰り返しながら安定した結晶構造へと導く必要があります。この温度管理が不十分だと、表面に白い斑点が浮き出るブルーム現象と呼ばれる品質劣化が生じます。また、チョコレートは非常に高粘度かつ熱に弱い食材であるため、伝熱面への焼き付きを防ぐ工夫が欠かせません。櫻製作所の掻き取り式熱交換器「オンレーター」は、伝熱面を掻き取り羽根(ブレード)で常にかき取りながら加熱・冷却する構造を持ち、こげつきを防ぎながら高粘度材料を連続的に処理できる点から、チョコレートの加熱冷却工程にも適した装置とされています。

参考文献:株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ マーガリン・ショートニングの熱交換プロセス

マーガリンやショートニングは、油脂を急冷しながら練り込むことで、なめらかな食感と安定した結晶構造を作り出す食材です。製造工程では、乳化した油脂原料を急速に冷却しながら同時に撹拌・混練し、微細で均一な結晶を析出させる必要があります。冷却が不均一だと結晶が粗くなり、食感がざらついたり離水が起きたりする原因になります。このように「冷却」と「撹拌」を同時に高いレベルで行う必要がある食材であるため、掻き取り式熱交換器のように冷却と混練を一体で行える装置が広く用いられています。

参考文献:株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ 卵液の熱交換プロセス

卵液(全卵・卵白・卵黄)は、加熱によってタンパク質が凝固する性質があるため、熱交換には特に繊細な温度管理が求められます。液卵の殺菌では60℃前後の温度帯を保ちながら一定時間加熱する必要があり、温度が高すぎると凝固してしまい、低すぎると殺菌が不十分になるという、非常に狭い温度範囲での管理が求められます。プレート式熱交換器を用いる場合は、伝熱面での局所的な過熱(ホットスポット)を避けるため、流速や温度差を細かく調整しながら殺菌・冷却が行われています。

■ 植物油の熱交換プロセス

食用植物油の精製工程では、脱ガム・脱酸・脱色・脱臭といった各工程で加熱と冷却が繰り返し行われます。特に脱臭工程では200℃を超える高温での処理が必要になる一方、精製後は酸化を防ぐために速やかに冷却する必要があります。また、油脂の中には常温で固まりやすい性質を持つものもあり、配管内での固化を防ぐために、貯蔵・搬送段階でも一定の温度を保つ保温・加熱設備が欠かせません。植物油は比較的低粘度であるため多管式やプレート式の熱交換器が使われることが多いですが、部分水素添加油やパーム油のように融点が高い油脂では、専用の加温設備が併用されることもあります。

■ スープ・出汁の熱交換プロセス

スープや出汁類は、具材の有無によって適した熱交換方式が異なります。具材を含まない澄んだスープであればプレート式熱交換器による連続殺菌・冷却が可能ですが、野菜片や肉片などの固形物を含む場合は、流路の閉塞を避けるために多管式熱交換器や掻き取り式熱交換器が選ばれます。加熱工程では風味成分を引き出しつつ殺菌を行い、冷却工程では風味の劣化や油脂の酸化を抑えるために速やかに温度を下げることが重要です。長時間高温にさらすと風味が飛んでしまうため、加熱時間と温度のバランスが特に重視される食品カテゴリーです。

参考文献:株式会社イズミフードマシナリ「製品紹介-製品で選ぶ-熱交換器・通電加熱機器」https://www.izumifood.shi.co.jp/product/p_category1.html

■ 酒類の熱交換プロセス

日本酒やビール、ワインといった酒類の製造では、発酵・熟成のための温度管理と、火入れ(加熱殺菌)のための熱交換が組み合わされています。日本酒の火入れは65℃前後で行われることが一般的で、酵母や酵素の働きを止めて品質を安定させる目的があります。ビールの製造では、麦汁を沸騰させるボイル工程の後、酵母を加える前に急速冷却する工程があり、この際の冷却スピードが雑菌汚染の防止と酵母の活性維持に直結します。いずれの工程でも、風味を損なわない範囲でいかに素早く目標温度に到達させるかが技術的なポイントとなります。

■ レトルトカレー・パウチ惣菜の熱交換プロセス

レトルト食品は、密封したパウチや缶のまま高温高圧で殺菌するレトルト殺菌が特徴ですが、その前段階である調理工程でも熱交換器が活躍しています。カレーやシチューのように具材ととろみのあるルウが混在する食品は、粘度が高いうえに固形物を含むため、伝熱面への焦げ付きが起きやすく、掻き取り式熱交換器のように撹拌しながら加熱できる装置が適しています。充填前の調理段階でしっかりと均一に加熱しておくことで、その後のレトルト殺菌工程での加熱ムラを減らし、品質の安定化にもつながります。

参考文献:株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ マヨネーズ・ドレッシングの熱交換プロセス

マヨネーズやドレッシングは、油と水を乳化剤で安定させた乳化食品であるため、熱交換の際には乳化状態を壊さないことが重要になります。加熱による殺菌温度が高すぎたり、急激な温度変化が加わったりすると、乳化が破壊されて油分が分離してしまうことがあります。また、マヨネーズは比較的高粘度であるため、低粘度の水系食品向けのプレート式熱交換器では十分な熱交換ができない場合があり、多管式や掻き取り式の熱交換器が用いられることが一般的です。加熱後は乳化を安定させたまま速やかに冷却し、その後の充填工程に送られます。

参考文献:株式会社イズミフードマシナリ「製品紹介-製品で選ぶ-熱交換器・通電加熱機器」https://www.izumifood.shi.co.jp/product/p_category1.html

■ デンプンが主成分の素材の熱交換プロセス

コーンスターチや片栗粉、タピオカデンプンなどデンプンを主成分とする素材は、加熱によって糊化し、粘度が大きく上昇する性質を持っています。糊化が進むにつれて流動性が急激に低下するため、加熱の初期段階では低粘度でも、工程が進むにつれて高粘度食材向けの熱交換器へと切り替える、あるいは最初から高粘度対応の装置で処理するといった配慮が必要です。またデンプン糊液は伝熱面に付着しやすく、放置すると焦げ付きの原因になるため、掻き取り羽根で伝熱面を常時清浄に保ちながら加熱・冷却できる構造の熱交換器が適しています。

参考文献:株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ 繊維質・固形物を含む食材の熱交換プロセス

野菜片や果肉、肉片などの繊維質・固形物を含む食材は、液体部分と固形部分とで熱の伝わり方が異なるため、均一な加熱・冷却が難しい食材群です。固形物の内部まで十分に熱を伝えるには、液体部分よりも長い加熱時間や、より高い温度差が必要になる場合があります。また、プレート式熱交換器のような狭い流路を持つ装置では固形物が詰まりやすいため、流路径の大きい多管式熱交換器や、内部で撹拌しながら処理できる掻き取り式熱交換器が選ばれる傾向にあります。固形物の大きさや硬さに応じて、装置の流路設計や撹拌機構を最適化することが、品質と生産効率の両立につながります。

参考文献:藤産業株式会社「熱交換器とは」https://www.st-fuji.co.jp/heatexchanger.html
株式会社イズミフードマシナリ「製品紹介-製品で選ぶ-熱交換器・通電加熱機器」https://www.izumifood.shi.co.jp/product/p_category1.html


【第三部】熱交換器を正しく選ぶために ~種類・素材から導入までのポイント~

第一部では熱交換の基礎、第二部では食品カテゴリー別のプロセスをご紹介しました。最終回となる第三部では、熱交換をかたちにする「熱交換器」そのものについて、種類・素材・導入検討のポイントまで詳しく解説します。

■ 熱交換器とは?

熱交換器とは、温度の異なる2つの流体の間で、直接混ざり合うことなく熱エネルギーだけを移動させるための機械装置です。多くの場合、金属製の伝熱面(プレートやチューブ)を挟んで高温流体と低温流体を流し、伝熱面を介して熱を移動させます。食品・化学・医薬品・電力などあらゆる産業において、加熱・冷却・殺菌・蒸発濃縮といった目的で幅広く使用されている、製造現場に欠かせない基盤設備のひとつです。

参考文献:Metoree「熱交換器 メーカー165社 注目ランキング&製品価格」https://metoree.com/categories/heat-exchanger/

■ 熱交換器の用途

熱交換器の用途は非常に幅広く、食品工場での殺菌・調理・冷却工程はもちろん、化学プラントでの反応液の温度制御、医薬品製造における無菌的な加熱冷却、発電プラントでの蒸気の凝縮、空調設備での冷暖房など、多岐にわたります。代表的な身近な例としてはエアコンが挙げられ、冷媒と空気の間の熱交換によって室内の温度を調整しています。産業用途では、単一の熱交換器で複数の流体を同時に処理できるものもあり、設置スペースや配管の簡略化にも貢献しています。

参考文献:Metoree「熱交換器 メーカー165社 注目ランキング&製品価格」https://metoree.com/categories/heat-exchanger/
住友精密工業株式会社「プレートフィン型熱交換器」https://www.spp.co.jp/netsu/products/smalex/
株式会社日阪製作所 熱交換器事業本部「APPLICATIONS用途|製品/用途」https://www.hisaka.co.jp/phe/products/energy_saving04.html

■ 熱交換器の種類

熱交換器には、目的や流体の性質に応じてさまざまな種類があります。代表的なものとして、多数の伝熱プレートを積層した「プレート式」、円筒(シェル)の中に多数の細い管(チューブ)を配置した「多管式(シェル&チューブ式)」、螺旋状の管を使う「スパイラル式」などがあり、プレート式は多くの場合最も熱交換効率に優れたタイプとされています。プレート式は薄いプレートで伝熱抵抗が小さく、高い熱交換効率とコンパクトさを両立できる一方、狭い流路構造のため高粘度流体や固形物を含む流体には不向きという弱点もあります。こうした高粘度・固形物入りの食材に対応するために、櫻製作所の「オンレーター」のような掻き取り式熱交換器が用いられます。オンレーターは、二重構造のシリンダー内を原料が通過し、外側のジャケットに加熱・冷却媒体を流す構造で、内部の掻き取り羽根(ブレード)が伝熱面のこげつきや凍てつきを防ぎながら、加熱・冷却と混練を同時に連続処理できる点が特長です。

参考文献:株式会社日阪製作所 熱交換器事業本部「プレート式熱交換器|1限目 熱交換器とは|熱交ドリル」
Alfa Laval「熱交換器とは-仕組みと用途」https://www.alfalaval.jp/products/heat-transfer/plate-heat-exchangers/about-heat-exchangers/
藤産業株式会社「熱交換器とは」https://www.st-fuji.co.jp/heatexchanger.html
株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ 熱交換器の素材は?

熱交換器の伝熱面材質は、流体の腐食性や衛生要件、コストに応じて選定されます。最も一般的な材質はステンレス鋼で、なかでもクロムとニッケルを含むオーステナイト系のSUS304やSUS316は、耐食性・加工性・溶接性に優れることから、プレート式熱交換器のスタンダードな材料として広く使われています。より高い耐食性が求められる場合にはチタンが選ばれることもあり、チタンは海水などに触れても錆びにくく、比重もステンレスの約7.9に対し約4.5と軽量である点が特長です。さらに厳しい腐食環境では、ハステロイ合金やニッケル、グラファイトといった特殊材質が採用されることもあります。食品用途では、衛生面から表面を鏡面研磨したステンレスが選ばれることが一般的です。

参考文献:株式会社日阪製作所 熱交換器事業本部「材質|2限目 今さら聞けない…|熱交ドリル」
Alfa Laval「熱交換器とは-仕組みと用途」https://www.alfalaval.jp/products/heat-transfer/plate-heat-exchangers/about-heat-exchangers/
住友精密工業株式会社「プレートフィン型熱交換器」https://www.spp.co.jp/netsu/products/smalex/

■ 熱交換器のメリットとデメリットは?

熱交換器を導入する最大のメリットは、連続的かつ効率的に大量の流体を加熱・冷却できる点にあります。バッチ処理に比べて生産性が高く、エネルギーの再利用(排熱回収)によるコスト削減効果も期待できます。一方でデメリットとしては、伝熱面の汚れの付着(ファウリング)による性能低下、定期的な洗浄・メンテナンスの手間、そして高粘度流体や固形物を含む流体では圧力損失が増加し熱伝達効率が下がりやすいといった課題が挙げられます。また、プレート式熱交換器は特に大規模なアプリケーションではプレート枚数や材料コストの増加により導入コストが高くなる場合もあるため、処理する流体の特性に合わせた機種選定が重要になります。

参考文献:藤産業株式会社「熱交換器とは」https://www.st-fuji.co.jp/heatexchanger.html
株式会社アピステ「液冷式熱交換器(液体―液体)|チラー 周辺情報」
「プレート式熱交換器の仕組み~コンパクトでメンテナンスが簡単なプレート式熱交換器を解説!」

■ 熱交換器のメーカー、どんなメーカーがあるのか

熱交換器メーカーは国内外に数多く存在し、扱う流体や業界によって得意分野が分かれています。プレート式熱交換器の分野ではアルファラバルや日阪製作所などが世界的に高いシェアを持ち、多管式やスパイラル式に強みを持つメーカーも数多く存在します。食品分野の高粘度原料に特化した掻き取り式熱交換器の分野では、櫻製作所の「オンレーター」は、マーガリンやチョコレート、カスタードクリームなど幅広い高粘度食品の加熱・冷却・混練に対応しています。導入にあたっては、処理する流体の粘度や固形物の有無、必要な衛生基準などを踏まえて、各メーカーの得意分野を見極めることが大切です。

参考文献:Metoree「熱交換器 メーカー165社 注目ランキング&製品価格」https://metoree.com/categories/heat-exchanger/
株式会社櫻製作所の採用・求人情報-engage
株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ 熱交換器の耐久性

熱交換器の耐久性は、使用する材質や流体の腐食性、運転条件、そして日々のメンテナンス状況によって大きく左右されます。プレート式熱交換器はガスケットの経年劣化や伝熱面の摩耗が寿命を左右する一方、ガスケットの交換によって長期間使用を続けられる設計になっているものもあります。掻き取り式熱交換器のような機械的可動部を持つ装置では、掻き取り羽根やシール部分の摩耗が耐久性に影響するため、定期的な部品点検・交換が重要です。いずれのタイプも、適切なメンテナンスを継続することで、装置本来の能力を長期間にわたって維持することができます。

参考文献:「プレート式熱交換器の仕組み~コンパクトでメンテナンスが簡単なプレート式熱交換器を解説!」
株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ 電熱温度の管理方法は?

熱交換器の温度管理は、一般的に温度センサーと制御弁(またはインバータ)を組み合わせたフィードバック制御によって行われます。出口側の流体温度を常時センサーで検知し、目標温度との差に応じて熱媒(蒸気・温水・冷水)の流量や供給圧力を自動調整することで、安定した温度を維持します。食品工場では、殺菌に必要な温度・時間を確実に満たすため、記録計による温度履歴の自動記録や、規定温度を下回った際の警報・自動排出(リダイレクト)機能を備えたシステムが導入されることも一般的です。

■ 熱交換器のオペレーション方法は?

熱交換器の日常的な運転では、起動時の急激な温度変化を避けるため、徐々に流量・温度を上げていく手順が基本になります。運転中は、入口・出口の温度と圧力を定期的に確認し、想定以上の圧力損失や温度差の異常があれば、伝熱面の汚れの兆候として早めに対応することが重要です。停止時には、装置内に残留した原料を洗浄・排出してから停止する必要があり、特に食品用途では、CIP(定置洗浄)システムを用いて分解せずに内部を洗浄できる設計が広く採用されています。

■ 熱交換器を使用するときの注意点は?

熱交換器を使用する際は、まず処理する流体の粘度・固形物の有無・腐食性に適した機種と材質を選定することが大前提になります。加えて、急激な温度変化や過度な圧力をかけると伝熱面やガスケットの劣化を早める原因になるため、メーカーが指定する運転条件の範囲内で使用することが重要です。また、プレート式熱交換器は第1種圧力容器に該当することがあり、蒸気側の安全弁や温水側の逃し弁といった安全装置の設置が必要になる場合があるため、法令や規格に基づいた安全対策も欠かせません。

参考文献:「熱交換器(多管式・プレート式・スパイラル式)|製品紹介|建築設備事業」https://www.morimatsu.jp/construction/pressure/hex.html

■ 熱交換器のトラブル事例はあるか?対処法はあるか?

熱交換器で最も多いトラブルのひとつが、伝熱面への汚れの付着による性能低下(ファウリング)です。特に高粘度食材や糖分・タンパク質を多く含む食材では、伝熱面にこげつきが発生しやすく、熱交換効率の低下や製品の焦げ臭・変色の原因になります。対処法としては、定期的なCIP洗浄の実施に加え、掻き取り式熱交換器のように伝熱面を機械的に清掃し続ける構造の装置を採用することが有効です。また、ガスケットの劣化による流体の漏れや、配管の詰まりによる圧力損失の増大なども代表的なトラブルとして挙げられ、いずれも定期点検と消耗部品の計画的な交換によって未然に防ぐことができます。

参考文献:藤産業株式会社「熱交換器とは」https://www.st-fuji.co.jp/heatexchanger.html
株式会社アピステ「液冷式熱交換器(液体―液体)|チラー 周辺情報」
株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」

■ 熱交換器の交換熱量をUPさせる方法はあるか?

熱交換器が移動できる熱量は、「伝熱係数」「伝熱面積」「温度差」の3つの要素で決まります。したがって交換熱量を増やすには、流体を乱流にして伝熱係数を高める、伝熱面積を増やす(プレート枚数を増やす、チューブ本数を増やすなど)、あるいは熱媒側の温度をより高く(または低く)して温度差を広げる、という3つのアプローチが基本になります。プレート式熱交換器では、プレートを積層する構造上、伝熱プレートの増減によって任意の伝熱面積に変更できる点が大きな強みです。また、伝熱面の汚れを防いで初期性能を維持し続けることも、実質的な交換熱量を高く保つうえで重要なポイントです。

参考文献:株式会社日阪製作所 熱交換器事業本部「プレート式熱交換器|1限目 熱交換器とは|熱交ドリル」
Alfa Laval「熱交換器とは-仕組みと用途」https://www.alfalaval.jp/products/heat-transfer/plate-heat-exchangers/about-heat-exchangers/

■ 熱交換器の金額

熱交換器の価格は、種類・処理能力・材質・付帯設備の有無によって大きく変動するため一概には言えませんが、一般的にはプレート式熱交換器は多管式に比べてコンパクトかつ低コストになりやすく、処理能力が同等であれば設置面積も小さく抑えられる傾向があります。一方、チタンやハステロイなどの耐食性の高い特殊材質を用いる場合や、掻き取り式のように混練・撹拌機能を併せ持つ装置の場合は、標準的なプレート式・多管式に比べて価格が高くなる傾向があります。正確な金額については、処理する流体の条件(粘度・温度・流量・固形物の有無など)を踏まえた個別見積もりが必要になるため、まずはメーカーへの相談をおすすめします。

参考文献:「プレート式熱交換器の仕組み~コンパクトでメンテナンスが簡単なプレート式熱交換器を解説!」
Metoree「熱交換器 メーカー165社 注目ランキング&製品価格」https://metoree.com/categories/heat-exchanger/

■ 熱交換器のランニングコストは?

熱交換器のランニングコストは、主に熱媒(蒸気・温水・冷水)のエネルギーコスト、洗浄・メンテナンスにかかる人件費や薬剤費、消耗部品(ガスケット、シール材など)の交換費用で構成されます。伝熱効率の高い機種を選ぶことで、同じ熱量を得るために必要なエネルギー量を抑えられるほか、排熱回収の仕組みを取り入れることで熱媒コストをさらに削減できる場合もあります。また、汚れが付着しにくい構造や洗浄性の高い設計を選ぶことは、洗浄にかかる時間・薬剤・水の使用量を減らし、結果として長期的なランニングコストの低減につながります。

■ 熱交換器の購入する際の検討要素は何があるのか?

熱交換器を選定する際には、まず処理する流体の性質(粘度、固形物の有無、腐食性、温度域)を明確にすることが出発点になります。そのうえで、必要な処理能力(流量・伝熱量)、設置スペースの制約、衛生基準(食品・医薬品向けかどうか)、洗浄のしやすさ、そして初期費用とランニングコストのバランスを総合的に検討する必要があります。加えて、将来的な生産量の増加や品目変更の可能性を見据え、伝熱面積の調整余地があるかどうかも重要な検討ポイントです。これらの要素を整理したうえで、複数のメーカーに相談し、実際の原料でのテスト(試験加工)を経て選定することが望ましいでしょう。

■ 熱交換器の購入方法は?

熱交換器の購入は、一般的にメーカーや専門商社への直接の問い合わせから始まります。多くのメーカーでは、製品カタログのダウンロードや技術資料の提供を行っており、まずは処理したい原料や希望する処理能力を伝えたうえで、担当者との打ち合わせを重ねながら仕様を固めていく流れが一般的です。標準品として販売されている汎用的な熱交換器であれば比較的短納期での購入も可能ですが、食品工場向けの特殊な高粘度対応機や大型のオーダーメイド機については、個別設計・個別見積もりとなるケースがほとんどです。

■ 熱交換器の購入の流れは?

熱交換器の購入は、一般的に次のような流れで進みます。まず、処理したい原料のサンプルや仕様(粘度、温度、流量、固形物の有無など)をメーカーに伝え、初期相談を行います。次に、必要に応じて実機やパイロット機を用いたテスト加工を実施し、実際の原料での加熱・冷却性能を確認します。テスト結果をもとに機種・仕様・材質を確定し、正式な見積もりと仕様書の取り交わしを行ったうえで発注に進みます。その後、製作・納品・設置・試運転を経て、実際の生産ラインへの本格導入となります。導入後も、定期メンテナンスやアフターサービスを通じて、長期にわたり安定した性能を維持していくことが重要です。

■株式会社櫻製作所の熱交換器

株式会社櫻製作所の主力製品である掻き取り式熱交換器「オンレーター®」は、二重構造のシリンダー内を原料が通過し、外側のジャケットに加熱・冷却媒体を流すことで、原料の物性を最適にコントロールする装置です。内部には加熱時のこげつきや冷却時の凍てつきを防ぐ掻取羽(ブレード)を備えたAユニットや、原料を混練するためのピンを配置したBユニットなどがあり、用途に応じて自由にカスタマイズできる点が特長です。

用途としては、加熱・冷却・混練を連続的に処理できることに加え、食品・化粧品業界に適した完全密閉構造を持ち、高粘度材料用の特別設計により少量生産から大量生産まで対応できる点が挙げられます。実際に、マーガリンやチョコレート、カスタードクリーム、マヨネーズ、レトルトカレーのルウ、デンプン糊液など、本記事で紹介してきたような「高粘度」「固形物入り」「焦げ付きやすい」食材の加熱・冷却・混練工程に幅広く採用されています。

オンレーターは加熱冷却の熱交換器であると同時に撹拌、混練、化学反応も高性能に行うことができ、こげつきや凍てつきがなく熱による変質も受けないうえ、全密閉式で衛生的です。構造は通常型のAユニット、混合分散型のBユニット、強力な分散混合型のCユニットの3種類があります。

このように、チョコレートのテンパリングやマーガリン・ショートニングの急冷混練、カレー・シチュー・デンプン糊液などの高粘度原料の連続加熱調理まで、プレート式や多管式では対応が難しい原料の熱交換に強みを持つのがオンレーター®です。原料の粘度や固形物の有無、求める処理能力などご要望に応じて仕様をカスタマイズできますので、ご興味のある方はぜひ一度、株式会社櫻製作所へお問い合わせください。

参考文献:株式会社 櫻製作所「掻き取り式熱交換器」https://www.sakuraseisakusho.co.jp/scraping/heat/
掻き取り式熱交換器『オンレーター』櫻製作所|イプロスものづくりhttps://mono.ipros.com/product/detail/2000095439/

 

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