東京の猛暑・酷暑にどう備える? ~気候変動の実態から産業現場の品質管理・BCP対策まで~
【第一部】東京の暑さを正しく知る~気温の変化から暑さの構造・対策まで~
近年、東京では「観測史上最高」という言葉を耳にする機会が増えました。都市化によるヒートアイランド現象も加わり、東京の夏は全国のなかでも特に暑さが際立つ地域のひとつとなっています。全2部構成の第一部では、東京の気温変動の実態から、WBGT(暑さ指数)や熱帯夜、暑さの構造、日常でできる対策までを整理してご紹介します。
■『夏の気温マップ』とエリア別の暑さ特徴
東京都は一般財団法人日本気象協会と連携し、都内全域を1キロメートルメッシュの細かさで暑さ指数(WBGT近似値)を表示する「東京暑さマップ」を公開しています。同じ東京都内であっても、内陸部やアスファルトに囲まれたエリアと、海や緑地に近いエリアとでは体感の暑さが大きく異なります。お出かけや屋外作業の前には、こうした地域別のマップで身近な地域の暑さ指数を確認することが推奨されています。
参考:文京区|暑さ指数(WBGT)をご存じですか https://www.city.bunkyo.lg.jp/b037/p002794.html
■数年の東京の気温の推移
気象庁の観測データによると、東京では猛暑日(最高気温35℃以上)の年間日数が更新され続けています。2025年8月27日には、東京都心で猛暑日日数が年間23日となり、1875年の統計開始以来の最多記録を更新しました。同年8月24日には37.2℃を観測するなど、記録的な高温が相次いでいます。ここ数年は猛暑日・真夏日ともに増加傾向が続いており、平年値そのものが「暑さの目安」として機能しにくくなってきているのが実情です。
参考:図録|毎年の熱帯夜・猛暑日及び降雨・降雪日数の推移 https://honkawa2.sakura.ne.jp/4350.html
■時間帯別の気温の推移
東京の夏は、日中だけでなく朝晩の気温も高止まりする傾向にあります。気象庁のアメダスによる時別値を確認すると、日最高気温を記録する時間帯は14時前後が中心ですが、近年はコンクリートやアスファルトに蓄えられた熱の影響で、夕方以降も気温がなかなか下がらないケースが目立ちます。時間帯ごとの気温変化を把握しておくことは、屋外作業や通勤・通学の時間帯を工夫するうえでも重要な情報となります。
参考:気象庁|気象観測データ https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/daily_h1.php
■東京のWBGT(暑さ指数)の推移
WBGT(暑さ指数、Wet Bulb Globe Temperature)は、気温・湿度・輻射熱の3つの要素を組み合わせて算出される熱中症リスクの指標です。環境省は「熱中症予防情報サイト」でWBGTの実況値・予測値を提供しており、2025年度からは実測値の提供地点を全国47地点に拡大しています。東京においても、7月から9月にかけてWBGTが警戒レベルとされる28を超える日が増加しており、熱中症による救急搬送者数との相関も明らかになっています。
参考:環境省熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp/doc_observation.php
参考:環境省・気象庁|熱中症警戒アラートについて https://www.jma.go.jp/jma/press/2101/26a/20210126_siryou2.pdf

■最高・最低気温の較差
猛暑が続く年は、日中の最高気温だけでなく、夜間の最低気温も高止まりする傾向があります。最高・最低気温の較差(日較差)が縮小するということは、体が夜間に十分に休まらないことを意味し、熱中症リスクや睡眠の質の低下にもつながります。都市部ではアスファルトやコンクリートに昼間の熱がたまり、夜になってもゆっくりと放出され続けるため、東京のような密集市街地ほどこの傾向が強く出やすいとされています。
■猛暑日の日数
気象庁の統計によれば、2007年に「猛暑日(最高気温35℃以上)」という用語が定められて以降、東京の猛暑日日数は長期的に増加傾向にあります。2025年には年間23日を記録し、それまで最多だった2023年の22日を上回りました。さらに気象庁は2026年4月17日、最高気温40.0℃以上の日を「酷暑日」として新たに気象用語に加えており、40℃超えがもはや珍しくない現象になりつつあることを示しています。
参考:てぐち|猛暑日の日数と推移 https://www.teguchi.info/weather/summer/extremely-hot-day/
■今年のピーク
ウェザーニューズが発表した「猛暑見解2026」によると、2026年の夏(7〜9月)の気温は前年に続き全国的に平年より高くなる見込みで、特に7月下旬から8月上旬にかけてが暑さのピークになると予想されています。上空で複数の高気圧が重なる「ダブル高気圧」が発生した場合には、35℃を超える猛暑日が継続し、地域によっては40℃を超える酷暑日となるおそれもあるとして、厳重な警戒が呼びかけられています。
参考:ウェザーニュース|猛暑見解2026 https://weathernews.jp/news/202606/230111/
■今年の暑さはいつまで続くのか
同じくウェザーニューズの見解では、梅雨明けから8月にかけてチベット高気圧が日本付近に強く張り出す時期があり、その時期は全国的に猛暑日が多くなる見通しです。9月に入ると太平洋高気圧の張り出しは次第に弱まるものの、9月前半を中心に厳しい残暑が続くと予想されています。一時的に暑さが和らぐタイミングがあっても、油断せず秋口まで対策を続けることが大切です。
参考:ウェザーニュース|猛暑見解2026 https://weathernews.jp/news/202606/230111/
■秋口までの暑さ
近年は「残暑」という言葉では表現しきれないほど、9月に入っても真夏日・猛暑日が続く年が増えています。太平洋高気圧の勢力が長引くことで、暦の上での秋を迎えても厳しい暑さが継続するケースが多く見られます。屋外での作業や夏物商戦、イベント運営などにおいては、8月だけでなく9月中旬頃までを見据えた暑さ対策の計画が求められます。
■熱のこもりとは?
「熱のこもり」とは、建物や地面、コンクリート構造物などに蓄積された熱が、気温が下がった後も長時間放出され続ける現象を指します。都市部ではアスファルトやコンクリートが日中に吸収した熱を夜間にゆっくり放出するため、気温が下がりにくく、熱帯夜の一因にもなっています。倉庫や工場のように熱容量の大きい建材でできた施設では、外気温が下がった後も内部に熱がこもりやすく、閉め切った空間ほど注意が必要です。
■東京の暑さ対策
東京都や環境省は、日傘や帽子の活用、こまめな水分・塩分補給、涼しい服装、そして室内でのエアコン活用などを基本的な暑さ対策として呼びかけています。加えて、外出時間の見直しやクールシェアスポットの活用など、都市生活ならではの工夫も広がっています。暑さ指数を日々の行動判断の目安として活用することが推奨されています。
参考:政府広報オンライン|暑さ指数(WBGT)熱中症リスクを可視化 https://www.gov-online.go.jp/article/202607/entry-11528.html
■熱帯夜とは?
熱帯夜とは、夜間(一般的には日没から翌日の日の出まで)の最低気温が25℃以上となる夜のことを指します。東京のような大都市では、日中に蓄積された熱がアスファルトやコンクリートから夜間も放出され続けるため、熱帯夜が発生しやすい環境にあります。熱帯夜が続くと、就寝中も体温がうまく下がらず、睡眠の質の低下や熱中症リスクの増加につながることが知られています。
■熱帯夜の暑さ対策
熱帯夜の対策としては、就寝前後の適切なエアコン利用が基本となります。設定温度を下げすぎず26〜28℃程度を目安にしつつ、扇風機やサーキュレーターを併用して空気を循環させる方法が効果的とされています。寝具や寝間着を通気性の良い素材に変える、氷枕や冷却シートで首元・脇の下など血流の多い部位を冷やすといった工夫も、体感温度を下げるうえで有効です。
■熱帯夜の多さ
ウェザーニューズの長期予報では、2026年の熱帯夜日数は全国的に平年を上回る見込みで、沖縄では91日程度と平年より10日ほど多くなると予想されています。東京についても、近年の傾向を踏まえると熱帯夜日数が平年を上回る年が続くとみられ、夜間の暑さ対策の重要性はますます高まっています。
参考:ウェザーニュース|猛暑見解2026 https://weathernews.jp/news/202606/230111/
■時間ずらしの通勤
猛暑日が続く時期には、通勤・通学の時間帯を早める、あるいは遅らせることで、気温がピークとなる日中の屋外滞在時間を減らす工夫が広がっています。多くの企業がフレックスタイム制度やテレワークを活用し、朝の涼しい時間帯に業務を開始する、あるいは炎天下での移動を避けるといった取り組みを進めています。こうした「時間ずらし」は、通勤者本人の熱中症リスクを下げるだけでなく、混雑緩和にもつながるとされています。
■酷暑のダメージとは?
酷暑がもたらすダメージは、熱中症などの健康被害にとどまりません。屋外作業の効率低下、集中力の低下による事故やミスの増加、さらには機械設備の稼働率低下やインフラの劣化促進など、経済活動全体に及びます。日本郵便は2026年6月、熱中症特別警戒アラートが発表された地域では二輪車や自転車、徒歩による配達・集荷業務を原則休止すると発表しており、猛暑が物流サービスの提供体制そのものに影響を及ぼしている実例といえます。
参考:LOGISTICS TODAY|日本郵便、猛暑時の配達休止を明確化 https://www.logi-today.com/958820
■アスファルトとコンクリートの反射とは?
アスファルトやコンクリートは日射を吸収しやすく、地表面の温度は気温以上に上昇することが知られています。夏場のアスファルト表面温度は60℃前後に達することもあり、そこから照り返す熱(輻射熱)は体感温度を大きく押し上げます。WBGTが気温だけでなく輻射熱を要素に含めているのも、こうした照り返しの影響を正しく評価するためです。
参考:環境省熱中症予防情報サイト|暑さ指数(WBGT)の詳しい説明 https://www.wbgt.env.go.jp/doc_observation.php
■暑さの構造
私たちが感じる「暑さ」は、気温だけで決まるものではありません。気温・湿度・輻射熱・風速という4つの要素が複雑に絡み合って体感の暑さが形づくられています。同じ気温であっても、湿度が高ければ汗が蒸発しにくくなり体温調節が難しくなりますし、無風であれば熱がこもりやすくなります。WBGTはこれらの要素を統合的に評価する指標として、多くの現場で活用されています。
■体感温度
体感温度とは、実際の気温に湿度や風、日射といった要素を加味して、人が肌で感じる暑さ・寒さを表す指標です。気温が同じでも、湿度が高い日はより蒸し暑く感じられ、風が吹く日は涼しく感じられます。東京の夏は湿度が高い日が多いため、気温以上に体感温度が高くなりやすく、数値上の気温だけを見て油断すると熱中症リスクを見誤ることになります。
■エアコン・室外機
夏場の室内温度管理に欠かせないのがエアコンですが、猛暑日が続くと室外機の負荷も増大します。室外機が直射日光にさらされたり、周囲に熱がこもったりすると、放熱効率が落ちて冷房能力が低下し、電力消費量も増加します。室外機の周囲に物を置かない、日よけを設置する、定期的にフィルターや熱交換部を清掃するといった基本的なメンテナンスが、猛暑期の安定稼働には欠かせません。
■クールビズとは?
クールビズとは、夏季にオフィスの室温を28℃程度に設定しつつ、上着やネクタイを着用しないなど軽装で過ごすことで、冷房にかかるエネルギー消費を抑える取り組みです。環境省が2005年から呼びかけを始めた取り組みで、現在では多くの企業や自治体で定着しています。近年は「スーパークールビズ」として、ポロシャツやアロハシャツなど、より柔軟な服装を認める企業も増えています。
■クールビズの事例
自治体や企業のなかには、クールビズをさらに一歩進めて、通気性・吸汗速乾性に優れた機能素材の制服を導入したり、屋外作業員向けにファン付きウェアを支給したりする事例が広がっています。さらに、化学工場や粉じん・火気を扱う現場など、電動ファン付きウェアの使用が難しい環境では、ドライアイスを活用した冷却ウェアを導入する動きも出てきています(詳細は第二部でご紹介します)。
■台風の影響
台風は暴風雨によって甚大な被害をもたらす一方で、南から暖かく湿った空気を日本列島に送り込むことで、通過後にフェーン現象を引き起こし、一時的に気温を急上昇させることがあります。また台風が日本の南海上に停滞すると、太平洋高気圧の張り出しを強め、結果的に猛暑を長引かせる要因になることも指摘されています。台風シーズンと猛暑のピークが重なる年は、暑さと風水害の両方への備えが必要です。
■ゲリラ豪雨の影響
近年、都市部では短時間に非常に激しい雨が降る「ゲリラ豪雨」が増加しています。地表が高温になることで大気が不安定になり、積乱雲が急速に発達しやすくなることが一因とされています。ゲリラ豪雨の後は気温が一時的に下がることもありますが、湿度が急上昇し、蒸し暑さが増すケースも多く見られます。倉庫や屋外資材置き場などでは、急な豪雨による浸水対策と合わせて、湿度上昇に伴う品質管理にも注意が必要です。
■偏西風の影響
日本の天候は、上空を流れる偏西風の蛇行に大きく左右されます。偏西風が北に大きく蛇行すると、日本付近に高気圧が張り出しやすくなり、猛暑や酷暑につながります。近年は地球温暖化の影響で偏西風の蛇行パターンが変化しているとの指摘もあり、気象予報の分野でも長期的な暑さの見通しを立てるうえで重要な観測対象となっています。
■これからの気候
気象庁や各種気象予報会社の見通しでは、今後も日本の夏季平均気温は上昇傾向が続くとみられています。2023年から2025年にかけての3年間で、統計開始以来の40℃以上の観測回数のうち約4割が記録されるなど、近年の気温上昇は加速度的に進んでいます。企業や自治体には、こうした気候変化を前提とした中長期的な暑さ対策の検討が求められています。
参考:てぐち|猛暑日の日数と推移 https://www.teguchi.info/weather/summer/extremely-hot-day/
第一部では、東京の気温上昇の実態からWBGTや熱帯夜の仕組み、暑さの構造、日常でできる対策までを整理しました。第二部では、酷暑が物流・倉庫・工場・イベント・医薬品・精密部品・食品といった産業現場に与える具体的なリスクと、その品質管理・BCP対策についてご紹介します。
【第二部】東京の暑さを正しく知る~酷暑が現場に与えるリスクと品質管理・BCP対策~
第一部では、東京の気温上昇の実態からWBGT、熱帯夜、暑さの構造、日常でできる対策までをご紹介しました。全2部構成の第二部では、酷暑が物流・倉庫・工場・イベント・医薬品・精密部品・食品といった産業現場に与える具体的なリスクと、暑さの中での品質管理、非常時のリスクヘッジについて詳しく解説します。
■酷暑とは
気象庁は2026年4月17日、最高気温が40.0℃以上の日を「酷暑日」として新たに気象用語に制定しました。同庁が観測を開始した1872年以降、40.0℃以上を観測した回数は153年間で108回にのぼりますが、そのうち約4割にあたる41回が2023年から2025年までのわずか3年間に記録されており、近年の気温上昇が加速していることを示しています。
参考:てぐち|猛暑日の日数と推移 https://www.teguchi.info/weather/summer/extremely-hot-day/

■酷暑の過酷さ
酷暑環境下では、人体だけでなく、モノや設備にも大きな負荷がかかります。屋外での作業効率の低下や熱中症リスクの増加はもちろん、輸送中の荷物の変質、倉庫内温度の上昇による在庫品質への影響、工作機械の熱膨張による加工精度の低下など、影響は多岐にわたります。日本気象協会の気象予報士も、近年の夏は「別格」ともいえるレベルの暑さになりつつあると指摘しており、複合的な気象リスクへの備えが企業に求められています。
参考:LOGISTICS TODAY|今夏、例年以上の酷暑と複合気象リスクに備えよ https://www.logi-today.com/935336
■酷暑が物流と配送に与えるリスク・事例
物流業界では、酷暑によってドライバーの熱中症リスクが高まるだけでなく、荷物そのものの品質にも影響が及びます。日本郵便は2026年6月、屋外作業中の熱中症対策を強化するため、猛暑時の配達・取集・集荷業務の運用を見直すと発表しました。「熱中症特別警戒アラート」が発表された地域では、二輪車・三輪車・自転車・台車・徒歩による配達を原則休止するとしており、これにより時間帯指定を含む荷物の配達に遅れが生じる可能性があるとしています。猛暑が配送計画そのものを見直させるほどの経営リスクになっていることがわかる事例です。
参考:LOGISTICS TODAY|日本郵便、猛暑時の配達休止を明確化 https://www.logi-today.com/958820
■酷暑が配送車に与えるリスク・事例
配送車の荷室内は、直射日光や外気温の影響で車外よりも高温になりやすく、特にドライバーが荷降ろしのたびに扉を開閉するトラックでは、温度変化が激しくなります。保冷機能を持たない一般の配送車では、荷室内温度が40℃を超えることも珍しくなく、温度に敏感な製品を運ぶ際には大きなリスクとなります。厚生労働省の「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」でも、輸送中の車両・容器内における温度モニタリング機器の定期的な保守・校正や、温度逸脱が生じた場合の調査・報告手順の整備が求められています。
参考:厚生労働省|医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン https://www.mhlw.go.jp/content/111
20000/000466215.pdf
■酷暑が倉庫に与えるリスク・事例
天井が高く広い空間を持つ倉庫では、一般的な空調設備だけでは温度を均一に管理することが難しく、作業エリアによって温度差が生じやすいという特徴があります。高温環境を放置すると、熱中症リスクの増加だけでなく、荷役作業員の集中力低下による作業ミスや生産性の低下にもつながります。倉庫内の暑さ対策では、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)を用いた総合的な管理が推奨されており、気温がおよそ28℃を超える環境では熱中症リスクが高まりやすいとされています。
参考:CRE倉庫検索|物流倉庫の暑さ対策|熱中症を防ぐポイント https://www.logi-square.com/column/detail/s_250226
■酷暑が工場に与えるリスク・事例
工場では、金属を削る切削加工機など、稼働時に強い摩擦熱を発する機械が数多く使われています。夏場の高温環境下ではこうした熱源機器の温度がさらに上がりやすく、金属部品や工具、アームなどが熱膨張を起こすことで、加工精度の悪化につながる可能性が指摘されています。対策として、加工部への冷却油の供給や水冷パイプの導入など、稼働条件に適した冷却方法の選定が重要とされています。また工場内のサーバー室では、半導体や電子部品は熱に弱く、40℃の環境での故障率を1とすると60℃では10倍、80℃では100倍にもなるとされ、猛暑期の空調管理は生産ラインの安定稼働に直結します。
参考:アピステコラム|工場の温湿度管理の必要性とその目安 https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=9785
参考:Rittalブログ|食品工場・製造工場・サーバールームの温度・湿度管理方法について https://blog.rittal.jp/blog/793
■酷暑が夏のイベントに与えるリスク・事例
野外フェスやスポーツイベント、屋外での催事などは、来場者・スタッフともに酷暑による熱中症リスクが特に高まる現場です。近年は仮設テント内であってもWBGTが警戒レベルを超えるケースが多く、給水ポイントの増設や休憩スペースの確保、開催時間帯の見直しなど、主催者側の対応が求められています。短期間・仮設という特性上、恒久的な空調設備を導入しづらいイベント現場では、その場で手軽に用意できる冷却手段の重要性が高まっています。
■酷暑が医薬品に与えるリスク・事例
医薬品は温度変化の影響を受けやすい製品の代表例です。インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬のような蛋白質主体の薬剤は高温による影響を受けやすく、32℃で28日間保管されたインスリン製剤で効力が約14%低下したとの報告や、38℃で3時間保管された懸濁性製剤で濁度が明らかに変化したとの報告もあります。また新型コロナウイルスワクチンの接種現場では、保冷庫の電源プラグが脱落して保管温度帯を逸脱したり、保冷容器から中身を出したまま2時間放置されたりといった管理ミスにより、貴重なワクチンが廃棄処分となった事例も報告されています。
参考:日本医事新報社|近年の酷暑と薬の保管~「室温」の定義 https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_26783
参考:RiSOKO|危険物(医薬品)の保管は温度管理が必須 https://risoko.jp/useful-information/drugstorage/
■酷暑が精密部品に与えるリスク・事例
精密機器は一般的な室温(18〜26℃程度)であれば品質に大きな問題が生じることは少ないとされていますが、金属を削る切削加工機のように熱を発生させる機器が近くにある環境では、加工中のワークや工具自体が熱膨張を起こし、加工精度の悪化につながることがあります。半導体や電子部品も熱に弱く、周囲温度の上昇によって故障率が跳ね上がることが知られており、猛暑期には検査・保管環境の温度管理がより一層重要になります。
参考:アピステコラム|工場の温湿度管理の必要性とその目安 https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=9785
■酷暑が食品に与えるリスク・事例
食品工場では、高温多湿の環境下で細菌の増殖が急速に進みやすくなります。黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオ、サルモネラなどは、わずかな温度逸脱や工程間の滞留時間の延長によって爆発的に増殖し、重大な食品事故につながるおそれがあります。クール便のトラックから荷下ろしされた荷物が荷捌き場で放置され、表面温度が急上昇するといった事例も報告されており、油脂製品の酸化や青果の変色、肉の退色といった品質劣化リスクも夏場は特に高まります。
参考:食品ITnavi|食品工場が夏に気を付けること https://food.uchida-it.co.jp/column/20250805/
■暑さの中での品質管理とは?
暑さの中での品質管理とは、気温上昇によって生じる製品の変質・劣化・故障リスクを事前に予測し、保管・輸送・製造の各工程で温度を適切な範囲に維持する取り組みを指します。具体的には、保管施設の温度マッピングの実施、温度モニタリング機器の設置と定期的な校正、あらかじめ定めた保管条件からの逸脱が発生した際に警告を発する体制の整備などが挙げられます。
参考:厚生労働省|医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000466214.pdf
■暑さの中での品質管理の事例
食品工場では、HACCPに沿った衛生管理の一環として、冷蔵庫・冷凍庫の庫内温度や製品の中心温度を定期的に計測・記録することが義務づけられています。手書きによる温度記録からIoTセンサーによる自動記録への移行も進んでおり、異常値が出た際にアラートを発する仕組みを導入する現場も増えています。また夏場は冷凍・冷蔵機器の稼働率が冬の2〜3倍に達するとされ、電気代の上昇や品質逸脱による廃棄ロスなど、利益率を圧迫する要因にもなっています。
参考:食品衛生法における温度管理の基準とは https://industry.csunnet.co.jp/column/column/temperature-control
参考:食品ITnavi|食品工場が夏に気を付けること https://food.uchida-it.co.jp/column/20250805/
■非常時・災害時のリスクヘッジ(BCP対策)
酷暑は、台風やゲリラ豪雨などの他の気象災害と重なって発生することもあり、停電による空調・冷蔵設備の停止など、非常時のリスクも見過ごせません。停電時に温度管理が維持できなくなれば、医薬品や食品の廃棄、精密部品の品質劣化、現場作業員の熱中症リスク増大など、深刻な被害につながりかねません。BCP(事業継続計画)の観点からは、電源に依存しない冷却手段や、必要な時に必要な分だけ現場で用意できる備えを準備しておくことが、酷暑・災害の両面のリスクヘッジとして有効です。
特に、屋外での長時間作業や酷暑日が続く現場、また停電時にも品質管理が求められる現場では、電源を必要とせず体やモノを直接冷やせる対策が有効です。株式会社櫻製作所では、必要な場所で必要な時に必要な分だけドライアイスを製造できる可搬型の「ドライアイスステーション」と、株式会社チクマとの共同開発による、脇下・首元の血管が集中する部位を効率よく冷やす「氷点下ベスト®」をご用意しております。電源不要で屋外現場やイベント会場でも導入しやすく、粉じんや飛沫飛散エリア、炉前作業など特殊な現場でも着用いただけるほか、停電時のBCP対策としても活用が広がっています。
「自社の現場にどの対策が合うか分からない」「まずは試してみたい」という方は、ぜひお気軽に株式会社櫻製作所までお問い合わせください。現場の状況やご予算に合わせて、最適な酷暑対策をご提案いたします。
株式会社 櫻製作所 公式サイト:https://www.sakuraseisakusho.co.jp
